2020年12月28日
平屋と聞くと昔の住まいのイメージをされる方も多いのではないでしょうか。実は近年、若い層を中心に平屋の人気が上昇しているのです。

「土地がないとできないんじゃないか」「収納が少なくなりそうで気になる」
ちょっと興味があるけど、不安だらけで一歩踏み出しにくいのも事実です。今回はそんなときに参考にしてほしい平屋づくりのお供におすすめの書籍をピックアップ。ネットで情報収集もできる時代ですが、一生の住処となる家づくりには信頼できる一冊が心強いパートナーになるはず。
ここでご紹介するのは写真集のような本やエッセイ集のような本、情報誌などさまざま。まずは平屋の基礎を知りたい、実際の建築事例が見たい、デザインからイメージを膨らましたいなど、ご自分の今の状況に適した一冊を選んでみてくださいね。
平屋にまつわるおすすめ本5選
『FLAT HOUSE LIFE 1+2』

昭和時代に建てられた中古住宅を「住むアンティーク」「ビンテージ住宅」として捉える『FLAT HOUSE LIFE』シリーズ。
その2009年発刊の初刊と、2012年発刊のvol.2が合本し、さらに2物件を加えて400ページの新装版となって帰ってきた一冊です。ハウスメーカーによるプレハブ平屋や海外の有名建築家による注文設計物件など戦後に建てられた様々なタイプのFLAT HOUSEが満載。思い思いのスタイルで FLAT HOUSE LIFEを楽しむ住人たちの暮らしぶりを覗くことができる読み応えたっぷりの一冊です。
『平屋に暮らす―本当の豊かさを育む住まい20軒』

平屋に暮らす20軒の家族を取材。平屋に対する思い、こだわり、暮らしぶりを紹介。
平屋で住む方々の丁寧な暮らしぶり、そして彼らが平屋を通じて求める「豊かさ」とは何か。まずはそのライフスタイルを覗きたい人にぴったりの一冊です。
『小さな平屋。自然を感じる、すこやかな暮らし』

通り土間で庭と畑をつないだ晴耕雨読の暮らし、子どもが内と外を自由に行き来する土間リビング、20坪の住まいにアトリエを構える定年後のなど、暮らしを存分に楽しむ、13件の幸せな住まいを美しい写真とともに紹介。
実例とともに気になるポイントにも答えてくれる実用的な一冊です。
『モダンリビング(MODERN LIVING) No.232』

1951年の創刊以来、毎号「幸せを実感できる暮らしと空間」を提案する家とインテリアのビジュアル建築誌「モダンリビング」。No.232では“平屋は贅沢!”のテーマをもとに自由でユニークな平屋6例を紹介。その他リノベーションやインテリアのアイディアもたっぷり収録された一冊からは、家づくりへのインスピレーションがたくさん得られるはず。平屋はもちろん、その他のスタイルも検討したい方にはおすすめです。
『夢を叶える、平屋の家 one-story house with casa』

平屋づくりのすべてがわかる、一冊まるごと平屋特集!世界の平屋名建築や、平屋のあれこれがすべてわかるQ&Aなど、その魅力を徹底解剖。「広い土地がなければ建てられない?」「費用面が心配」そんな不安にも答えてくれる、平屋を手に入れるノウハウがいっぱい詰まった実用的かつ読みながらワクワクするような一冊です。
今の自分にぴったりの1冊をみつけよう
いかがでしたか。意外と平屋に関する本はたくさんあるんです。まずは写真を眺めながら理想のデザインをイメージするもよし、具体的な疑問を専門誌で調べるのもよし。まずは今の自分に合った1冊を見つけてみましょう。
記事 #casa
榎本綾
新しいものよりヴィンテージに惹かれます。
建築家は坂茂が好き。
2020年12月27日
ご主人が30代半ばにして建てた「カーサアマーレ」の物語。
3x6間(5.46x10.92m)は、どんな家族構成でも暮らしやすい
といわれる標準的な大きさ。
建てる場所を選ばず、そこで暮らす人数や住まい方の変化に対応しやすいので
その時代、時代に応じた豊かな生活設計が可能だ。

星を眺めながら眠りにつく家
二階には家族三人が川の字で寝られる広めの寝室と、奥さんの家事スペースや
子どもの遊び場ともなるフリースペースがある。二階の窓は天窓となるため、
屋根裏部屋のような風上を持つ。
子どもを寝かしつけていたのに気がつけば、一緒に子どもも眠っていた。
子どもの様子を見にきたのであろう妻も、隣で眠っていた。
小さな寝息がふたつ、互い違いに聞こえてくる。
こうして、我が家の夜は早々に幕を閉じる。
実は家族で川の字になって寝ることを想定して、二階の間取りを考えた。
寝室につながるフリースペースでは子どもを寝かしつけたあと、
子どもの気配を感じながら家事ができる。
もちろん、昼間はそこが子どもの遊び場になる。
オーディオを置いているので、自分の趣味スペースといえなくもない。
とにかく、何かと重宝するスペースであることは間違いない。
建ってまだ間もないからなのか、家中を木の香りが満たしている。
木の香りは深い眠りを誘うと何かで聞いたことがあるけど、そのせいなのか。
それとも仕事と子育てに追われ、身体が疲れているからなのだろうか。
ときどき天窓の向こうに見える星空が目に入り、見入ってしまうこともある。
窓枠が幾千の星を切り取って描き出す夜もあれば、雲間から星一粒が顔を覗かせ、
銀色のしずくが一滴だけ部屋にしたたるような夜もあった。
静かな夜だ。
星を眺めていたら、少し目が覚めてしまった。起き上がり、隣のフリースペースにある
アンプの電源を入れ、レコードに針を落とす。ベッドの気配を伺いながら、ボリューム
のつまみをぎりぎりまで絞った。
規則正しい寝息がふたつ聞こえた。ふたりを起こさないよう、そっとベッドに潜りこむ。
目を閉じると、アコースティックギターのフィンガーノイズが耳に残った。
数年前、NASA設立50周年を記念して、この楽曲が北極星へと発信された。
ジョン・レノンが「across the universe」と、ささやくように歌っている。アクロス・
ザ・ユニバース…日本語にはどう訳せばいいのろう。
そんなことを考えているうちに、睡魔がやってきた。
